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森鴎外と脚気の話

 明治維新の後、日本で「脚気」が流行しました。現在では脚気はビタミンB1の不足が原因であることは明らかですが、当時、日本でしか流行っていなかった脚気は風土病と考え、細菌の特定に力を入れていました。ところが海軍の高木兼寛という人物は「脚気は細菌ではなく食事ではないか」と唱えました。「脚気の原因は細菌だ」と否定し、陸軍の支給食品を精米に限定したのは、有名な森鴎外です。この為、森鴎外率いる陸軍は日清戦争や日露戦争で多くの兵士を脚気で失いました。高木兼寛率いる海軍の脚気は皆無でした。

 にんにくに多く含まれるビタミンB1は脚気を予防するほかに、糖を分解してエネルギーに変えます。筋肉内に溜まった疲労物質(乳酸)を除去する働きもあります。ビタミンB1が不足すると疲れを感じやすくなります。ビタミンB1を多量に補充しても、水溶性なので尿としてすぐに排泄されてしまいます。

 にんにくに含まれているその他の栄養素として、アリイン、メチイン、シクロアリインと呼ばれる含硫アミノ酸や、γ-グルタミル-S-アリルシステイン、γ-グルタミル-S-プロペニルシステインと呼ばれるペプチド、フロスタノールサポニン、ジメチルトリスルフィド、ジチインス、コルジニン、レクチンなどがあります。

 アリインは酵素アリイナーゼによって分解され、アリシンという化合物になりにんにくの臭いの素となります。アリシンはにんにくの中には存在せず、切ったりすりおろした時に生成されます。アリシンには殺菌作用があり、最近では胃潰瘍や胃がんの原因となるヘリコパクター・ピロリ菌を抑制するという報告もあります。

 アリシンがビタミンB1と結合すると「アリチアミン」という脂溶性で排泄しにくい強いビタミンに変化します。そして疲労回復効果が一層高まるのです。アリイン、アホエン、ジメチルトリスルフィド、ジチインなどにんにくに含まれる硫黄化合物には、動脈血栓や静脈血栓を防ぐ効果があり、血液を固まりにくくします。